コラム

【デリカフーズ】国産野菜の生産・加工流通・消費の現状と課題④

デリカフーズ株式会社
東京事業所 品質管理室長
有井 雅幸 氏(薬学博士)

4.野菜の生産、加工・流通、消費の課題(まとめ)

農業者の減少等の生産構造の急速な変化や国際環境の変化の中でも、需給ギャップの拡大が懸念される品目等の安定供給を確保するとともに、今後の拡大が見込まれる海外市場や加工・業務用等の新たな需要に対応していくためには、需要者とつながりの核となる事業者と農業者・産地が協働する中で、それぞれの能力を発揮する安定供給や生産の安定化・効率化等に取り組む新たな生産事業の形成を促進して行くことが重要である[農林水産省生産局長]。

4-1. 生産安定・効率化

農業者が減少傾向にある中で、安定的な取扱量を確保するための生産拠点地域・面積の拡大、農業用機械・施設の合理的配置、分業体制の構築、安定生産技術の導入・定着、労働力の融通・省力化等を行うことにより、事業者及び連携者の生産を安定化・効率化する。

4-2. 供給調整

気候的要因等による生産量・荷受量の変動が大きくなる傾向にある中で、実需者に対する供給の安定化を向上させるための加工・貯蔵施設や、荷受量を予測・調整するためのシステムの運営等を行うことにより、その変動を吸収し、実需者への供給を調整する。

4-3. 実需者ニーズ

消費者のニーズが高度化する中で、実需者が求める野菜の安全・衛生、環境配慮、扱いやすい荷姿・配送頻度等のニーズを把握し、それらを踏まえて、事業者及び連携者である生産者・産地全体での生産工程管理の実践の促進、品質評価、野菜・容器・輸送システムの統一・簡素化等を行うことにより、実需者ニーズに的確に対応する。

4-4. 野菜消費の向上

野菜はビタミンやミネラル、食物繊維や機能性成分(ポリフェノール等)など、人の健康にとって不可欠な栄養素や非栄養素の重要な摂取源で、私たちはビタミンAの53%、ビタミンCの40%、カリウムの23%、カルシウムの17%、食物繊維の36%を野菜から摂取している[H28年度国民健康・栄養調査報告]。

健康日本21(厚生労働省)で提唱されている野菜の一日摂取量目安350g(内、緑黄色野菜120g)も、これらの栄養素(ビタミンC、カリウム、食物繊維)の必要量から算定されたが、現状は全ての世代で野菜摂取不足である。少子高齢化・要介護者の増大を背景とした医療や介護などへの膨大な社会保障費を削減しなければ日本の将来はない。「適切な食生活」等を推奨することで「国民の健康寿命を延ばす」ことを目的に、家庭や外食などでプラス70g~100gの野菜を常時食べることが大きな課題である。

Profile

有井 雅幸
デリカフーズ株式会社
東京事業所 品質管理室長

出身地
兵庫県神戸市

最終学歴
東京理科大学 大学院 薬学研究科 博士課程修了(薬学博士)

職歴
公益財団法人 癌研究会癌研究所(特別研究員)
キッコーマン株式会社(機能性食品グループ長)
(その間の役職)
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会(評議員)
健康と食品懇話会(副会長)
内閣府 食品安全委員会/厚生労働省リスクコミュニケーション パネリスト
農林水産省 食料産業局 食品安全マネジメント等推進に向けた準備委員会委員
農林水産省 消費・安全局 食品トレーサビリテイ検討会委員
農林水産省 生産局 農業資材審議会専門委員
農林水産技術会議 異分野融合(情報インフラ構築)研究戦略検討会委員
日本GAP協会アドバイザー

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