コラム

【デリカフーズ】国産野菜の生産・加工流通・消費の現状と課題③

デリカフーズ株式会社
東京事業所 品質管理室長
有井 雅幸 氏(薬学博士)

3.野菜流通の現状

国内流通の現状については、食料品の購入先として、一般小売店からの割合が減少し、量販店を含むスーパーマーケットからの割合が増加している[総務省全国消費実態調査]。
また、全国の中央卸売市場における野菜のせり・入札取引の割合が低下し、卸売業者が買い手との間で価格・数量を決める相対取引が増加している[農水省食料産業局食品製造卸売課資料]。
更に、量販店が自ら農場を運営する例も出てきており、自社農場等の野菜をPB商品として取り扱う事例も増加している[社団法人食品需給研究センター]。

流通構造が大きく変化してきており、こうした変化に対応した野菜生産体制の整備が早急に必要となっている。今後、人口減少等を背景として慢性的な消費減少が見込まれているが、一方では大玉トマトからミデイトマトへの転換など一部の品目では、消費者の嗜好変化によって品種の転換が見られる例もある。野菜の生産、流通、加工、販売等の関係者がより一層連携して、国内外の需要喚起に務めるとともに、作柄変動や需要動向を踏まえた適切な作付けに取組み、消費者の嗜好変化や健康志向、実需者のニーズに的確に対応することが重要になっている。

そのために最近では、生産から流通・消費までのデータ連携により、サプライチェーン全体の最適化を可能とするスマートフードチェーンの構築を目指すことが重要と考えられるようになった。実需者ニーズに応えて一次産品を供給するデータ駆動型スマート生産システムとして、圃場内の生育ムラを改善する生育斉一化技術や生育シミュレーション技術と圃場画像センシング技術を連動させた精密出荷予測システム、知能化した農機による農作業・移動運搬の自働化技術の開発が行なわれている。さらに流通面では、需要に応じた適正品質の予測・制御技術の開発とともに、鮮度保持技術等を開発することで、高品質の野菜を消費者に提供するとともに、食品ロス削減を目指している。

さらに、天候災害等による安定供給に係るリスクヘッジのため、消費地近郊における冷蔵貯蔵施設の設置がなされるなど、生産地と消費地の中間の地点においてのストックポイントを補完する施設の整備が進められている。複数県での利用を前提とした広域集積施設の設置がなされ、複数の産地で構成するコンソーシアムを設立し、リレー出荷に取組む動きが出てきている。また、増大する物流コストに対応した消費地域や実需者に近接する加工・業務用野菜の産地を新たに形成する事例や、複数の産地で生産物を集積しトラック輸送の効率化を推進する事例、トラックから鉄道を利用するモーダルシフトの事例、冷凍調整工場を整備し加工品や調整品の製造等による付加価値向上による販売単価の引き上げで物流コストを賄う手法の事例なども出現している。

Profile

有井 雅幸
デリカフーズ株式会社
東京事業所 品質管理室長

出身地
兵庫県神戸市

最終学歴
東京理科大学 大学院 薬学研究科 博士課程修了(薬学博士)

職歴
公益財団法人 癌研究会癌研究所(特別研究員)
キッコーマン株式会社(機能性食品グループ長)
(その間の役職)
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会(評議員)
健康と食品懇話会(副会長)
内閣府 食品安全委員会/厚生労働省リスクコミュニケーション パネリスト
農林水産省 食料産業局 食品安全マネジメント等推進に向けた準備委員会委員
農林水産省 消費・安全局 食品トレーサビリテイ検討会委員
農林水産省 生産局 農業資材審議会専門委員
農林水産技術会議 異分野融合(情報インフラ構築)研究戦略検討会委員
日本GAP協会アドバイザー

2020© Japan Management Association All Rights Reserved.