コラム

【デリカフーズ】国産野菜の生産・加工流通・消費の現状と課題②

デリカフーズ株式会社
東京事業所 品質管理室長
有井 雅幸 氏(薬学博士)

2.野菜生産の現状

H22年夏の記録的な猛暑のような気象災害が近年多発しており、担い手の減少と高齢化等の進行と相まって、適正な栽培管理が困難となっている地域が増加し、気象の変化にも十分な対応が出来ていない状況である。基本技術のみでは気象の変化に対応した安定生産が困難になりつつあることから、新技術の導入等による生産基盤の強化を図ることを目的に、「低温、高温、干ばつ、大雨・台風、風害・竜巻、雪害・ひょう害」等の災害対策技術の基本指針が決定された[農業技術基本指針]。気象条件に左右されにくく、計画的な生産・出荷が見込める植物工場など高度な施設園芸について、雇用の場、新たな野菜の供給基地として、技術開発・普及を進めて行くことが必要と考えられている。

最近ではAIやロボット、IoT等を活用した新たな農業技術「スマート農業」が開発されつつあり、野菜生産にあっても、従来になかった生産技術の社会実装が期待されている。露地野菜では、労働力不足に速やかに対応するため、AIを搭載したキャベツやレタス収穫ロボット(デイープラーニングやセンシング、制御手法を活用したカメラ画像を駆使した自動運転技術等)の開発と、ICTを活用した生産管理システムの開発が行なわれている。施設野菜では、植物体情報の自動計測技術や光合成の見える化と、それに収量予測技術、人員配置等の労務管理の最適化技術の開発によって、更なる生産性向上を目指している。また、生産現場と市場などの屋内外でシームレスに自動走行が可能で、大型コンテナの積み下ろし・運搬も迅速に行うことができる自動フォークリフトシステム等の自動運転技術の活用が進展している。

さらには、日射量や気温等から事前に収量を予測する生育予測技術を活用したレタス等の栽培管理効率化・安定生産技術が開発されている。また、ドローンにマルチスペクトルカメラを搭載し、画像情報と生育・栄養状態との関係を解析し、生育量・生育ステージ、栄養状態を推定する手法も開発されつつある。最終的には、生育予測技術とこれら生育状況把握技術を統合システム化することで栽培管理指導支援・出荷予測システムとしての構築を目指している。

Profile

有井 雅幸
デリカフーズ株式会社
東京事業所 品質管理室長

出身地
兵庫県神戸市

最終学歴
東京理科大学 大学院 薬学研究科 博士課程修了(薬学博士)

職歴
公益財団法人 癌研究会癌研究所(特別研究員)
キッコーマン株式会社(機能性食品グループ長)
(その間の役職)
公益財団法人 日本健康・栄養食品協会(評議員)
健康と食品懇話会(副会長)
内閣府 食品安全委員会/厚生労働省リスクコミュニケーション パネリスト
農林水産省 食料産業局 食品安全マネジメント等推進に向けた準備委員会委員
農林水産省 消費・安全局 食品トレーサビリテイ検討会委員
農林水産省 生産局 農業資材審議会専門委員
農林水産技術会議 異分野融合(情報インフラ構築)研究戦略検討会委員
日本GAP協会アドバイザー

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